2022年に“世界最速チェーン” を目指し、開発を開始しました。
正直、初めは、”世界最速のチェーンを作る”という実感はなかったです。
ただただ良いチェーン、具体的には「選手のパワーをロスなく伝達するチェーンをつくる」という課題に向き合い何百本も試作評価を繰り返しました。
軽量化と強度剛性を両立させるための製品技術設計には、当社の設計のノウハウが生かされていると思います。また、ピンの中空化により機械での組み立てに課題がありましたが、生産技術部門・製造部門の協力により量産生産を実現することができました。
完成までに2年以上かかりましたが、多くの選手に採用いただき嬉しく思っています。
競技用自転車チェーン
当社の創業商品の一つとして、国内外で高い評価を得ています。バイクチェーンで培った技術を活かし、軽量かつ強度・剛性が高いチェーンを開発しました。
世界最速チェーン “MIDAS”
「MIDAS(ミダス)」という製品名は、ギリシャ神話に登場するミダス王が神から与えられた「触れるものすべてを黄金に変える力」“Midas Touch” に由来しています。MIDASを装着した選手の活躍を期待し名づけられました。
産機事業本部 菊知 達哉さん
開発の経緯・思い
軽量化と摺動抵抗
ピンの中空化、面出しレスにより、約10%(27g)の大幅な軽量化を実現。
軽量化を実現しながらも、従来品と同レベルの強度、剛性を保ち、JIS/ISO規格にも準拠しています。
ピンの面出しレスにより、空気抵抗を低減しました。
ブシュに表面処理を適用することで、ピンとブシュ間の摺動抵抗が低減し、チェーンによる動力損失を最小限にしました。当社採用の表面処理は、一般的な低摺動系表面処理に比べて、より緻密な摺動性樹脂が、きわめて一様に分散されております。
駆動抵抗を極限まで低減したことにより、従来品に比べ同じ速度で長く動き続けます。
奥:弊社標準品(DID1/2×1/8)/ 手前:D.I.D MIDAS
外部評価
イギリスの第三者テスト機関SSEH(SILVERSTONE SPORTS ENGINEERING HUB)にて行われたテストで「市場に出回るチェーンの中で、最も抵抗が少ない」という評価を獲得しました。
代表チームへの採用
2023年にプロトタイプを提供したところ、性能を高く評価いただき、2024年にオフィシャルサプライヤーとして契約締結に至りました。数多くの国際大会で採用されており、記録更新や世界最速を樹立しています。