バイクレース

当社とバイクレースとの関りは深く、その歴史は国内でバイクレースが盛んに行われるようになった昭和20年代後半まで遡ります。

当初のバイクレースは各地で行われる草レース的なものでしたが、バイクメーカーがこれに力を入れ始めるにつれ次第に本格化し、昭和30年11月には初めての国産バイク耐久ロードレースである”浅間レース”が開催され、以後昭和32年に第2回、昭和34年には第3回の浅間レースが行われました。

浅間レースでは微細な部品に至るまで全て国産品であることが出場条件とされたこともあり、第1回から当社の製品が多数使用され、第2回浅間レースでは、125㏄、250㏄、350㏄、350㏄以上の各クラスの1位入賞車の使用部品として、当社はチェーン、リム、スポークの部で大会総裁 高松宮宣仁親王殿下より受賞の栄誉にあずかりました。

第3回浅間レース

このようにバイクレースが盛んになるにつれて、各バイクメーカーも自社製品の優位性をレースで証明しようと意気込み、製品開発に凌ぎを削るようになりました。それは同時に、部品メーカーとしての当社に対する、過酷なレースでの使用条件に耐え得るチェーンや、高速走行に適したリムの開発要求につながることとなりました。

特に、イギリス・マン島で行われるTTレース(International Tourist Trophy Race)への参戦を表明した、本田技研工業株式会社 本田宗一郎社長からのレース用チェーンの開発要請は困難を極め、当時の社長である三代目新家熊吉も「本田さん、それは無理だよ」と悲鳴をあげるほどだったというエピソードも残されています。

しかしながら、チェーン部品であるピンの形状やブシュの加工方法の見直し、材質の変更等、諦めることなく様々な工夫を重ねることにより、とうとう要請に応えるレース用チェーンの開発に成功しました。

開発したチェーンはTTレース用に開発されたことから”T型チェーン”と呼ばれ、昭和38年11月には鈴鹿サーキットで行われた「第1回世界グランプリ日本大会」の50㏄クラスにおいて、T型チェーンを装着したバイクが優勝し、翌39年にはついにTTレースにおいて使用されるに至りました。

第1回世界グランプリ日本大会
50㏄優勝車使用チェーン DK415T

T型チェーンの開発以降も、当社はバイクレースに参戦するチーム・ライダーへのスポンサーや製品の提供といった活動を途絶えることなく継続しています。バイクレースという極限の使用環境にも耐え得る高い信頼性を有した製品の追求や、実際にレースで使用されることで得られる様々なフィードバックをノウハウとして蓄積し新たな製品の開発につなげることで、当社はバイク関連製品の更なる進化を実現してきました。

現在では、MotoGP、ワールドスーパーバイク、AMAスーパークロス・モトクロス、全日本選手権といった、国内外の名だたるレースに参戦している様々なチームやライダーとスポンサー・サポート契約を締結しており、これらの著名なレースで長年にわたり採用頂くなかで、D.I.Dブランドのドライブチェーンやアルミリムは高い評価と信頼を獲得しています。

MotoGPで9回のワールドチャンピオンに輝き、2022年からは四輪車レースへ参戦しているヴァレンティーノ・ロッシ選手も、長年にわたり当社の製品を愛用頂いた著名なライダーの一人で、2020年からは当社のバイク関連製品のブランド・アンバサダーにも就任しています。

また2021年からは、国内におけるバイクの普及振興という共通の目的のもと、全日本モトクロス選手権におけるシリーズパートナーも務めています。

2020年 ヴァレンティーノ・ロッシ選手
ブランド・アンバサダー就任

2021年 D.I.D全日本モトクロス選手権

当社のバイク関連事業の発展は、バイクレースの発展と共に歩んできたと言っても過言ではありません。当社はこれからも、スポンサー・サポート活動を通じて、魅力的な製品の開発に努め、バイクレースの更なる発展やバイクの普及振興に貢献していくと共に、一人でも多くの方にバイクがもたらす感動や面白さを伝えられるよう尽力していきます。

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