トップメッセージ

 私は当社創業の地である石川・加賀で生まれ育ち、2002年に当社に入社しました。入社後は当社の主力事業のひとつである自動車向け部品事業部門において技術営業部長、アジア拠点の責任者を経て、2019年6月より当社の代表取締役社長に就任いたしました。
 就任当時から現在までを振り返ると、就任直後の比較的順風に見えた状況は長続きせずこの先予想される嵐にどう備えるかを考え抜き、今は実行に移している段階にあります。当社業績は、新型コロナウイルス禍でバイク需要が高まり主力の二輪車用チェーン受注が大きく伸張した結果、2022年3月期に純利益23億円と過去最高益を更新しました。しかし、その後は鋼材等の原材料やエネルギー価格高騰等が影響し2024年3月期営業利益はわずか2億円にとどまりました。厳しい経営環境の中でもがき苦しみながらも、中長期的な成長を達成するために何をすべきかを考え抜いた結果辿り着いたのが、100年先を見据えたフィロソフィー「DID MUGENDAI」の策定であり、それに続く長期経営ビジョン「DID MUGENDAI SMILE VISION 2035」と中期経営計画の策定です。

 当社の2024年3月期売上高は560億円ですが、長期経営ビジョンの達成に向けたロードマップとして2027年3月期までの第13次中期経営計画期間で同680億円(CAGR6.7%)、その後2036年3月期同1,500億円(同9.2%)までの拡大を新たに計画に織り込んでいます。事業ポートフォリオのイメージとして、まずはグローバルサウス展開によるモビリティ事業においてインドを中心に拡大し、同時に産機事業の海外拠点間でのクロスセルによるシェア拡大、サステナビリティ事業の新規創造が続くイメージです。

 私が常に意識している指標は、進出国の経済成長を上回る事業成長です。イメージ上では線形にビジネスが成長する図となっていますが、これらの取り組み次第では非線形の事業成長となる可能性もあると見ています。

 今の世の中は日々大小様々な変化に直面しております。この先、予想もできない変化が立て続け起こることは間違いないでしょう。投資家向け説明会の場で長期経営ビジョンを発表させていただいた際、私は「大変革 Re-Born」という言葉を使いました。長期経営ビジョンで掲げた目標は、当社にとっては本当に高い目標で、達成するためには単なる変革では足りず「生まれ変わる」覚悟が必要です。いや、本当に生まれ変わることが必要です。このままでは当社に未来はないという危機感を抱いた私に、当社は変われる、ワクワクする会社になれる、未来に向けて大きく成長していける、と確信させてくれたのは、当社グループの従業員一人ひとりの高い志や熱意、そして夢です。創業の精神である「大同致遠」の下に会社を束ね、従業員一人ひとりが自己実現に挑戦することで大変革を実現し、その結果として長期経営ビジョンも達成できると確信しています。
ステークホルダーの皆様に「大同工業は生まれ変わった」と言われるほどの変革を大同工業に起こすという、私の決意に、是非ご期待ください。